HOME >> 活動報告 >> 国際理解促進事業

国際理解促進事業

ワールドリポート「いま、アジアの女性たちは~海外通信員を囲んで世界を知ろう!」(2015年1月24日)

1.日時 2015年1月24日(土) 10:00~12:00
2.場所 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ 5階大セミナールーム
3.パネリスト サボール・アーメッド(第23期KFAW海外通信員(パキスタン))
マリスナ・ユリアンティ(第24期KFAW海外通信員(インドネシア))
スワプナ・マジュムダール(第22期KFAW海外通信員(インド))
アメリア・ロー(第24期KFAW海外通信員(香港))
4.コーディネーター 藤井大輔(九州国際大学国際関係学部准教授)
5.参加者 74名

 2015年1月24日(土)、北九州市立男女共同参画センター・ムーブにおいて、ワールドリポート「いま、アジアの女性たちは」を開催しました。今回は、アジア4カ国から海外通信員経験者を招へいし、アジアの女性や子どもたちが置かれている状況についてご報告いただきました。

 

◆「パキスタンの教育の現状」サボール・アーメッド(パキスタン)
 パキスタンでは、5歳から16歳までの子どものうち、約2,500万人が学校に通っていません。その理由として、農村地域の親は、女子が教育を受ける必要が無いと考えていることや、学校が遠すぎて通うことができないこと、教育の質が低く設備が整っていないために、子どもたちに学業を続ける意志が無いことなどが挙げられました。一方で、先日ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイ氏やNGOなどの活躍により、教育の必要性を再考する人びとも多くなりました。国内の教育の現状を改善するため、政府は、5歳から16歳の義務教育の無償化や、教育予算をGDPの2%から4%に増額するという措置を講じています。


◆「インドネシアの女性たち:希望と挑戦」マリスナ・ユリアンティ(インドネシア)
 インドネシアでは、これまで、ジェンダー平等な社会に向けてさまざまな法律や条約が採択されましたが、一方で、偏った文化的価値観や、性差別、宗教の教えの偏った解釈や、政府職員の意識の欠如などが、法令の実施に影響を及ぼしています。「女性は家にいて、男性が外で働きお金を稼ぐべき」という文化的価値観がいまなお根強く残っており、インドネシアの婚姻法では、女性は世帯主として認められていません。また、法律等が整備されたとしても、政府職員、法執行機関、一般市民の意識が改善されない限り、ジェンダー平等な社会の実現にはまだまだ遠いのが現状です。


◆「インドの失われた少女たち」スワプナ・マジュムダール(インド)
 2011年度のインドの国勢調査によると、0~6歳児の男女比率は、男子1,000人に対して女子はわずか919人でした。この現状の背景には、インドにおける過度な男児選好が挙げられます。特にインドの貧しい地方部では、結婚の際に新郎側に多額の持参金を払わなければならないため、女子は一家の経済的負担とみなされてきました。そのため、お腹の子どもが女子だと分かると、胎児の段階で中絶する妊婦も多く、女子の出生率はこの30年の間に、急激に減少しました。また、人口抑制のためにインド政府が打ち出した「家族計画」では、金品と引き換えに女性たちに不妊手術を勧めており、家族から強制的に避妊手術を受けさせられる女性も少なくありません。こうした女性への人権侵害に立ち向かうため、多くの女性が声をあげつつあります。


◆「香港の大卒女子の悲哀」アメリア・ロー(香港)
 香港では、大学を卒業した優秀な女性であっても、社会に出ると周囲から結婚を期待され、さまざまなプレッシャーに直面します。また、古くから残る文化的価値観により、出産後は、仕事を辞めて家事に専念することが求められます。そういった中で、香港の司法制度においては、変化の兆しが見えつつあります。以前は、夫の要求に応じて仕事を辞め、家事に貢献してきた女性たちが、離婚・別居時にそれまでの貢献を認められることはあまりありませんでしたが、現在では、長期結婚においては男女ともに財産の均等配分が原則とされています。法律や制度面での整備だけでなく、教育や啓発活動をとおして、人びとの性別固定的な考え方に変化をもたらすことも必要です。


 各通信員からの報告に続いて、市内大学生とのディスカッションを行いました。ジェンダー平等な社会にむけて、現地の人びとは実際にどのような行動をおこしているか、各国で女性の地位が低いのはどうしてなのか、といった質問が出されました。
 また、セミナー終了後には交流会を開催し、各通信員と意見交換する場を設けました。



当日配布資料は以下からご覧になれます