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国際理解促進事業

ワールドリポート「いま、世界の女性たちは~世界の行政官を囲んで~」(2016年1月23日)

1.日時 2016年1月23日(土) 13:00~16:00
2.場所 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ 5階大セミナールーム
3.パネリスト フランシスカ・アツルク(ジェンダー・児童および社会保護省 課長補佐(ガーナ))
アナ・クリスチィーナ(女性の能力開発のためのエルサルバドル協会(エルサルバドル))
テ・チュム・ハック(女性省 ジェンダー平等・経済開発局 副局長(カンボジア))
カーンティ・ウィジェトゥンゲ(スリランカ公共サービス委員会委員(スリランカ))
4.コーディネーター 小川玲子(九州大学比較社会文化研究員准教授)
5.参加者 91名

 

このたび、世界の4カ国(エルサルバドル、ガーナ、カンボジア、スリランカ)のジェンダー主流化政策について報告するセミナーを開催しました。コーディネーターとしてお招きした九州大学比較社会文化研究院の小川玲子先生による「ジェンダー主流化」に関する説明の後、4カ国の行政官が各国のジェンダー主流化政策について解説しました。

 


 

◆報告1「アフリカの玄関口、ガーナの現状」ジェンダー・児童および社会保護省 フランシスカ・アツルク氏
 私は2014年に北九州市でジェンダー主流化研修(JICAからKFAWが受託して実施)を受けました。研修修了後に私が母国で実施したジェンダー主流化に対する取り組みですが、ガーナの女性省内のスタッフ12名を対象にジェンダー主流化に関する研修や、18の省のジェンダーに関連する行政官を対象とした計画立案や予算に関する研修を実施しました。ガーナの女性省は他省と比べて予算が少なく、予算が無ければジェンダー主流化政策を実行することは出来ません。女性省だけでなく、関係する各省庁を巻き込んだ取り組みが必要不可欠であり、そのためのキーパーソンになることを目指しています。
 ガーナにおける基本的なジェンダーの問題としては、女性は男性に服従すべき存在であると思われていること、女性は自らの意見を述べることが許されず、意見を述べる時は必ず男性を介さなければならないという社会的習慣の存在が挙げられます。ジェンダーは女性だけの問題だと考えられていることも問題です。また、女子への教育も十分ではありません。こうした習慣が、教育、経済、政治分野における女性のエンパワーメントの達成を阻害しています。
 これらの問題の解決に向けて、政府は2015年8月に国家ジェンダー政策を策定し、現在、アファーマティブ・アクション法案や女性の財産の権利に関する法案も検討されています。このような動きの中、伝統的なコミュニティ統治において、従来は男性が務めていたチーフ(族長)のポジションに女性リーダーが参加するようになったという事例もあります。


◆報告2「エルサルバドルのジェンダー主流化政策」女性の能力開発のためのエルサルバドル協会 アナ・クリスチィーナ氏
 私は2015年に北九州市でジェンダー主流化研修を受けました。研修をとおして、ジェンダーの問題はグローバル・イシューであることを改めて意識し、社会を改善していこうとする継続的な関心と強い意思こそが問題解決のための糸口であることを再認識しました。帰国後は、JICA研修のアクションプランの講義で身につけた知識を活用して、女性および環境に関する来年度の企画書を作成しています。
 私が所属する「女性の能力開発のためのエルサルバドル協会」は1996年に設立され、エルサルバドルの女性の権利の保護や、国家政策におけるジェンダー主流化の推進を担っています。ジェンダー主流化を進めるために、機会均等、市民平等、教育プログラム、女性への暴力廃絶の4つのセクションがあります。機会均等セクションでは、女性差別の撲滅に向けて国家ジェンダー指標制度を導入して制度の進捗管理や評価を実施しています。市民平等セクションでは、地方自治体を対象に女性の政治的活躍の場を創出し、平等に情報を入手できる環境の整備を行っています。教育プログラムのセクションでは、公的機関における機会均等や女性の権利の教育、地方自治体のガバナンスにおけるジェンダー視点の導入などを進めています。女性への暴力廃絶のセクションでは、暴力の防止および暴力を受けた女性への司法面を含めた対応などを行うほか、教育省と協力し、学校における女性への暴力防止活動を支援しています。


◆報告3「カンボジアのジェンダー主流化の現状と戦略」カンボジア女性省ジェンダー平等・経済開発局 テ・チュム・ハック氏
 私は2008年、地方行政の上級責任者だった当時、北九州市でジェンダー主流化研修を受けました。帰国後、研修での成果をもとに作成したアクションプランをカンボジア国内で実施しました。政策の意思決定における女性参画を推進するプロジェクトをある1州で行い、最終的に全25州に広めていきました。リーダーシップを持つ女性の育成や、人的ネットワークの形成などを指導しました。プロジェクトは成功し、カンボジアの首相にも評価された結果、女性省平等・経済開発局の副局長に昇進しました。研修で学んだことを活用し、カンボジア女性のエンパワーメントの実現に寄与することができたと思います。
 カンボジアでは、過去20年でジェンダー平等は目覚しく進展しました。教育分野において初等/前期中等教育でのジェンダー平等はかなり進みましたが、後期中等/高等教育では格差が残っています。政治分野では女性国会議員はこの20年で3倍以上に、副首相・閣僚・大臣・次官ポストにおける女性の数も増加し、公官庁における女性比率も増加しています。女性・女児に対する暴力に関しては、暴力に対応する法律や政策の整備、被害女性に対する司法、保健、社会福祉サービスが改善されましたが、人身売買の問題等、依然として課題は残っています。経済分野での女性の権限強化については、賃金による雇用は女性の多くの機会を提供するものの、低賃金や劣悪な労働条件など課題があります。また、女性の起業について大きな潜在性はありますが、資金調達や事業関連サービスや資源へのアクセスが制限されていることがネックになっています。
 カンボジア政府はジェンダー主流化対策強化のために女性省が専門的支援を行う男女共同参画活動グループを全省に配置しました。今後の課題としては、女性省だけではなく関連省庁が連携を取って、ジェンダー問題の分析能力を強化していく必要があると考えます。


◆報告4「スリランカのジェンダー主流化戦略」スリランカ公共サービス委員会 カーンティ・ウェジェトゥンゲ氏
 私はこれまでの公務において、ジェンダー・フォーカル・ポイント(GFP: 各関係省庁に派遣され、ジェンダーの視点から政策分析・後押しをする人材)として、どの部局に行ってもジェンダー主流化を最重要課題として認識し、自分自身がジェンダー主流化の原動力となるよう務めました。現状把握をするための最も有効な手段として男女別データを収集することを各組織で提言し、多くの優秀な女性たちが管理職になれるように理事会などに働きかけました。
 スリランカでは憲法によりジェンダー平等が保障されていますが、現実的には女性は差別に直面しており、歴代の政府はそのような差別を撲滅するための対策をとってきました。政府は1995年に女子差別撤廃条約を批准し、独立した省である「女性問題省」を設立しました。スリランカでは国家発展のアジェンダにMDGsを組み込みました。その結果、初等教育の男女比率は100:99でほぼジェンダー平等を達成できました。また識字率は男女とも95%です。女性のリプロダクティブ・ヘルスに関する取り組みも進めています。
 一方で、家父長的な習慣や女性への差別的な態度は根強く残っており、女性の能力開発プログラムは進んでいません。さらに、スリランカの東部および北部で戦争未亡人が増加しており、そういった女性達やその家族への支援が必要です。また、農業に従事する女性の権利保護や、移住労働者とその子どもたちの福祉対策、DVや人身売買など様々な問題が発生しています。今後、このような女性たちを保護する法律の整備や教育問題に取り組んでいかなければなりません。


 各行政官からの報告に続いて、会場からの質問をもとにパネルディスカッションを行いました。ジェンダー主流化を阻む要因は何ですか?、「男性」はジェンダー問題についてどのように考えていますか?といった質問が出されました。
 また、セミナー終了後には交流会を開催し、各行政官と意見交換する場を設けました。



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