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プログラム開発

デートDV防止プログラム開発 講演会「デートDVを知っていますか?」(2009年8月9日)

第1回KFAWデートDV防止プログラム開発 公開講演会(講演要旨)
「デートDVを知っていますか?」


  • 日 時 2009年8月9日(日)13:00~14:00
  • 場 所 北九州市立男女共同参画センター5F 小セミナールーム
  • 講 師 窪田 由紀 九州産業大学教授 「デートDVってなあに?」
  • 参加者 31人

2007年の調査結果の分析を基に、デートDVの加害に繋がる要因と、デートDV防止のワークショップ・プログラムとその効果の一部を紹介していただきました。


【講演要旨】

DVとデ-トDV

Dating Violenceはアメリカでは80年代から注目され、調査研究や防止の取り組みが始まった。日本では2003年に山口のり子氏によって紹介されデートDVと命名された。
デートDVは交際中の若いカップル間の暴力のことである。デートDVは経済的な依存関係、パートナーの家族との関係、法的な結びつきがないという点でDVとの構造的な違いがあるが、そのためにDV防止法の対象にはならない。しかし、身体的、精神的、性的、社会的、経済的暴力による支配の存在はDVと同じである。深刻なDV被害者の中には、恋人時代からの暴力も少なくない。



アンケート結果 デートDVにあたる言動の暴力認知

2007年に北九州市の市民グループ、メイプルリーフの会が市内の大学・短大・専門学校・高等学校の学生2,555人にアンケート調査を行った。その結果、叩く・蹴る・殴るは暴力として認知されやすいが、携帯への頻回な電話や監視を暴力と認知する人は5割を切ることが分かった。性的なことの強要、叩く、蹴る、ものを投げる、大切なものを壊すなどの行為についての暴力としての認知度は、女性は高いが男性は低い。



デートDVにあたる言動の被害体験と加害体験

(1) 嫌な呼び方や無視
(2) 携帯への頻回な電話や監視
(3) 叩く、蹴る、物を投げる
(4) 大切なものを壊す
(5) 性的なことの強要
(6) メールチェック
(7) いずれか一つでもある
という質問の結果、「男子の19人に1人、女子の9人に1人は被害にあっている」また「男子の5人に1人、女子の6人に1人が何らかの加害をしている」ことが判明した。



相談しない理由

相談相手として友人、先輩、先生、親、兄弟姉妹、その他 とあるが男子の4人に3人、女子の2人に1人は誰にも相談していない。相談しない理由は「言動が愛情の表現だと思った」、「自分にも悪いところがあった」、「自分が我慢すればよい」などがあり、DVに当たる行為を暴力と捉えておらず、恋人同士であれば相手を支配しても良いという誤った価値観を持っている。



デートDV加害を促進する要因と抑制する要因

加害に繋がる促進要因として過去の性被害体験、学校での暴力遭遇、両親の対等でない関係などがあるが、ジェンダー平等意識、デートDV暴力認知度が高ければデートDV加害を抑制することができる。過去に性被害の体験を持つ女子は痛ましいことに、さらなるDVの被害に遭いやすい。また男性による支配を容認するなど、ジェンダー平等意識の低い女子は、被害にあいやすい。
過去の性被害体験についてはジェンダー平等意識の抑制効果は見られない。性被害体験を持つジェンダー平等意識の高い女子は、加害が最も多いという特異な結果で、人格の中枢を破壊されるような体験を受けたことにより、対人関係にゆがみが生じていると考えられる。性被害の影響の深刻さが窺われる。



まとめ

1. デートDVの実態はかなり高い発生率と、相談しない人が多いという理由で、潜在化・長期化・深刻化の危険性をはらんでいる。
2. デートDV加害に関わる要因としては、は家庭、学校での暴力への遭遇、過去の性被害体験、ジェンダーバイアス、暴力としての認識の乏しさがある。
3. 家庭、学校で暴力に遭遇していても、ジェンダー平等意識やデートDVにあたる
言動の暴力認知が高いと、デートDV加害は抑制されるという結果から、ジェンダー平等意識を高めること、デートDVにあたる言動の暴力認知を高めることでデートDV加害を防ぐことができる、すなわち、暴力の連鎖を断ち切ることができる。
4. デートDV防止ワークショップ後は、デートDV暴力認知が上昇することでから、デートDV防止ワークショップには、デートDV防止効果が期待される。
5. 早い段階からのジェンダー平等教育、デートDV防止教育、及び互いに相手を尊重するコミュニケーション・スキル訓練が必要である。






第1回KFAWデートDV防止プログラム開発 公開講演会(講演要旨)
「デートDVを知っていますか?」


  • 日 時 2009年8月9日(日)13:00~14:00
  • 場 所 北九州市立男女共同参画センター5F 小セミナールーム
  • 講 師 中田 慶子 NPO法人 DV防止ながさき代表 「デートDV防止プログラムについて」
  • 参加者 31人


NPO法人「DV防止ながさき」は、DV防止の啓発と被害当事者の支援のために、2002年9月市民グループとして発足、翌2003年5月にNPO法人化(8月認証)、2004年からはデートDV防止活動を開始し、高等学校150校(延べ26,000人)、中学校13校で、デートDV防止に関する授業を保健の先生や養護の先生、臨床心理士と連携して行っています。その活動内容、手法などについてご講演いただきました。



【講演要旨】


DV行為はパートナーを一方的に力で支配する関係で、身体的暴力、精神的暴力、経済的暴力、性的暴力がある。自尊心や権利を奪い、恐怖心を与え、逆らえない状態にする。日本におけるDVの現状(2008年、内閣府調査)は夫婦間では夫から妻に対して身体的暴力が24.9%、精神的暴力が16.6%、性的暴力は15.8%という報告がある。恋人間では身体的暴力が7.7%、精神的暴力が7.8%、性的暴力は4.8%である。恋人間では相手の反応が怖かったなどの理由で、3分の1以上が別れたかったけれど別れられなかったという回答している。2001年に配偶者暴力防止法が制定されたが、恋人同士はこの法律の対象には含まれていない。したがって加害者への監視、カウンセリングなどができないために接近自体を防ぐ手立てがないという限界がある。
文部科学省がデートDV防止教育プログラム開発を始めたということだが大いに期待している。

どんな人が暴力をふるうのか?

加害者はごく普通に(立派)に見える人で、妻や恋人だけに暴力をふるう。女性蔑視の考え方をし、女性と対等な関係を持つことなどできない、妻や恋人は自分の「所有物」という価値観を持っている。また、暴力に効果があると考えており、自分自身への低い評価や自尊心のなさを暴力でしか表現できない。暴力をふるう原因としてはDVを見聞きし、虐待を受けるなど暴力的な環境に生育したことも影響している可能性がある。



2004年から2008年に長崎県で高校生の女子10,786人、男子5,689人を対象に調査した結果、男女交際経験者は女子57%、男子45%であった。女子の5人に1人は被害経験があり、そのうち身体的、性的な被害も3分の1ほどあり、相手の男子に恐怖を感じている。男子の加害経験は10人に1人で被害経験は7人に1人あるが、相手の女子に恐怖は感じていない。



平成19年の20歳から24歳の女子対象の調査によると、全国では110万人の出生、26万件の中絶、福岡県では4万6千人の出生、1万5千件の中絶という結果が出ている。対等な関係がないことが、人工妊娠中絶や性感染症の増加に関連があると考えられる。



DVがなくならない社会的背景として、

(1) 落ち度があれば多少の暴力は仕方がない、お酒が入っていたら仕方がないなどの暴力容認文化
(2) ジェンダー平等意識が浸透していない結果、男性らしさは身体的・性的・経済的な力を持っていること、女性らしさは男性に従うことなどといった、偏った過度の性別役割分担意識
(3) コミュニケーション力の不足がよくいわれるが、コミュニケーション能力は高くても、妻や恋人にはその能力を使う必要が無いと思っている場合がある。



デートDVの特徴は

(1) 虐待、支配、嫉妬を「愛情」と勘違いしやすい。
(2) 恋愛は苦しいもの、ロマンチックでドラマチックなものと思っている。
(3) おとなと子どものはざまの年代で独立心が強く、干渉されたくない、秘密を持ちたい、自由でいたいと思っている。
(4) 親子関係より彼氏や友人との関係が大事であると考えている、などが挙げられる。

デートDV解決には

(1) 同じ学校の場合、被害者が転居や寮へ入るなど物理的に距離をとることが有効である。
(2) 一緒に住んでいる場合や社会人との恋愛の場合は、引き離すことが重要である。



解決の手段として、

(1) メールや手紙などで別れることの意志の表明。
(2) 1人にしない工夫。
(3) 相手の親との話し合い。
(4) 相手の停学や休学を求める。
(5) ストーカー規制法の適用、接近禁止の仮処分申請などがある。



セイフティリスト(気持ちを整理するためにも有効)として、

(1) 言葉や行為の記録を残しておく。手紙やメールを保存し、メールは転送して保存しておく。
(2) 携帯は壊される恐れがあるのでデータの保存、予備が必要である。
(3) 傷の写真や診断書を取っておく。
(4) お金、身の回りの品などを他の場所に保管しておく。
(5) 友人、親戚、シェルターなど隠れる場所を確保しておく。
(6) DVセンターや警察などの相談実績を作る。



DV防止教育の目的は、

(1) 将来のDVカップルを減らすため、若い世代での被害を減らす。
(2) 被害・加害の自覚と暴力からの脱却。
(3) デートDVの被害に遭った際の相談相手として、3分の2が友達に相談していることから(2004年の調査結果)、生徒に知識を持たせる。
(4) 相談先の一覧表などの情報を知らせる。



実際の授業の流れ

(1) 質問表で自分のDV神話をチェックする。
(2) ロールプレイによって生徒同士で実演・実感する。
(3) パワーポイントスライドで基礎知識と対策、相談先の情報を学ぶ。
(4) 対等な関係を作るためのワークショップを行う。
(5) まとめ。
(6) 大学生が作ったDVDを視聴する。
(7) アンケートを実施する。



DV神話と二次被害  DV神話

(1) ストレスや飲酒が暴力の原因だ。→素面でも暴力をふるう。
(2) 身体暴力だけがDVだ。→いろいろなDV行為がある。
(3) 学歴や職業で差がある、失業などでおこる。→学歴や職業、失業が原因ではない。 4
(4) 叩かれる女性も悪い、女性の努力で暴力は減らせる。→努力しても効果が無い。
(5) 暴力がいやなら逃げるはず。→逃げられない。
(6) よく話し合えばよい。→話し合えないのがDV関係。
(7) 子どもに父親は必要だから離婚すべきではない。→子どもにとってDV環境は虐待だ。
※根拠のない、有害な思い込みが二次被害を招く。



二次被害の内容(相談先での二次被害が多い)

(1) 夫婦には我慢も必要、あなたも反省すべきだ。
(2) どこの夫婦(恋人)にもあることだ。
(3) あなたの態度が暴力を誘発しているのよ。
(4) あなたが変わらないと相手も変わらないよ。
(5) やきもちは愛しているからだ。
(6) どうして我慢しているの、別れるべきだ。
(7) こんなに助言しても聞き入れないあなたが悪い。
※DVの構造を理解することが必要である。



授業実施で配慮していること

(1) DV家庭や、暴力を受けて育った生徒に配慮するために「非暴力の生き方を選べる」というメッセージを与える。
(2) 被害当事者を責めないなど配慮する。
(3) 加害当事者へ気付いて止めることができるというメッセージを与える。
(4) 傷ついても必ず回復する力があると伝える。
(5) 学校や先生と信頼関係を作るために時間を厳守し、守秘義務を果たす。
(6) 事前の打ち合わせや事後の報告を丁寧に行い、次年度につなげ、他学校へ広がるように努力する。



授業者に必要な資質

(1) DVについて理解を持ち、DV神話を払拭し、相談経験があることが望ましい。自己の問題を抱えていないこと。周囲との調整能力が必要である。
(2) 非暴力への確信を持つ。
(3) ジェンダーについて理解を持ち、ジェンダーバイアスを持たない。
(4) さまざまな状況の生徒へ気配りができる。
(5) 学校現場の教師と信頼関係を作ることができる。



今後の課題

(1) より早い啓発に効果があるので中学3年生へ広げる。
(2) 授業だけでなく、必ず相談・支援の窓口へとつなげる。
(3) 地域で支援のネットワークを構築していく。
(4) DVによる転入、転出への理解や、問題行動のある児童や生徒の背景にあるDVを察知するなど、DVについて学校全体が理解を深める必要性がある。



子どもたちに日頃から家族として大人として伝えておきたいこと

(1) つきあう相手を尊敬すること。
(2) 男女は平等、対等であること。
(3) 気持ちを言葉にして伝えることを習慣にする。
(4) いやなことにNOと言えるようにする。
(5) 非暴力の社会環境づくりをする。
(6) 親子の風通しをよくするために、日常の生活、食事、会話を大切にし、耳を傾け、信じ、味方になれる親になるよう努力する。




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