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KFAWアジア研究者ネットワーク開催セミナー

KFAWアジア研究者ネットワークセミナー 2017年度 第3回(2018年2月4日)
「女性の人権から見る選択的夫婦別姓制度~女性差別撤廃条約と家族」

1.日時 2018年2月4日(日)14:00~16:00
2.場所 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ5階 小セミナールーム
3.講師 近江美保(長崎大学多文化社会学部教授)
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講演内容

  2015年12月、最高裁判所は、夫婦同氏制に関する「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する。」との民法750条の規定を合憲であると判断しました。その理由は、家族の呼称は1つに定めることが合理的で、婚姻前に築いた個人の信用や評価、実績などを維持する利益は、人格権の1つとまでは言えない、②夫の氏を選ぶ夫婦が多いのは、個々の夫婦の協議の結果である、③民法750条は、婚姻それ自体を制約するものではない、④夫婦同氏制は日本社会に定着している、というものでした。
  この最高裁判決は、15人の裁判官による大法廷で開かれましたが、そのうちの3人の女性裁判官全員は、①改姓が女性の業績や実績等の法的利益に影響を与える情況が増加し、婚姻前の氏の使用希望には十分合理性がある、②夫の氏の選択は、女性の社会的・経済的・家庭的立場の弱さに基づいている、③夫婦同氏制の例外を認めないことは、個人の尊厳と両性の本質的平等に反している、④夫婦の氏が婚姻届の必要的記載事項とされ、婚姻の自由に不合理な要件を課している、という意見を付しました。
  日本政府が1985年に批准した女性差別撤廃条約(189か国が締約)に基づき、女性差別撤廃委員会は、日本政府に対して、①婚姻最低年齢を男女ともに18歳(現在は男性18歳、女性16歳)にすること、②女性(及び男性)が婚姻後も婚姻前の姓を維持できるようにすること、③離婚した女性に対する再婚禁止期間の廃止といった民法改正に関する勧告をしています。日本政府は、この勧告に関して取った措置を2年以内に委員会に報告することが求められています。
  女性差別撤廃条約は、女子に対する差別を、性に基づく区別、排除または制限のうち、女性の平等な権利が守られないような効果を持つものと定義しています。また、法律、政策、プログラムあるいは慣行が、性別に関して中立的に見えるが、実際には女性に対して差別的な効果を有するものを間接差別と呼び、女性に対する直接及び間接差別のいずれもが存在しないことを確保しなくてはならない、としています。婚姻時に夫の氏が選択された割合が96%に及んでいる現状から、講師の近江先生はこれを間接差別と指摘しています。
  最高裁判決後、商業登記簿の役員欄に通称併記が認められ(2015年2月)、裁判官・調停委員の旧姓使用が認められました(2017年9月)。また、2018年以降、住民票やマイナンバー、パスポートについても通称併記が可能となる予定です。
  女性差別撤廃委員会の勧告に関して取った措置について、日本政府がどのように報告(2018年3月予定)するのかが注目されています。
 

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